とりかえっこしようよ


6月になった。


仕事にも慣れてきて、周りを見る余裕が少しだけ出てきた。


課長までもが休むようになってきて、ひかりちゃんの課は大変そうだった。


それでも仕事は回っている。


『どうしてもこの人じゃなきゃ駄目だ』という仕事をしていた訳ではなかったということだ、課長も須藤さんも。



俺はどうなんだろう、と思った。


俺にしかできない仕事を、いつかできるようになる日が来るだろうか?



ひかりちゃんは、あの日レストランで言われたように……。


誰かの心に残る仕事を、さりげなく毎日続けている。




俺とひかりちゃんの交際がオープンになったのとほぼ同時に。


課長と須藤さんの関係も勘ぐられるようになってしまった。


俺達がきっかけを作ってしまったのかも知れないけれど、遅かれ早かれそうなる運命だったと思う。


飲み会などで、勘のいい人には気付かれていたらしい。


「いい気味だ」とあからさまに言う人もいた。


仕事に穴を開け、家庭を壊し、周りを巻き込んで……。


一番の被害者である、課長の子どもに心から同情した。



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