とりかえっこしようよ
 いっくんと文通できなくなってから、2年が過ぎた。

 
 私はもう、高校2年生になった。


 学校の居心地はいい。


 私と似たような、おとなしい女子のグループで、楽しくおしゃべりできるから。


 こんな地味な私にも、たまに「付き合ってください」と言ってくる男子がいるけど、今は「好きな人がいるから」ってはっきり断っている。


 連絡も取れなくて、ずっと片思いだけどね。







 
 ある日を境に、私の生活は一変した。


 お父さんのお店がなんとなくうまくいってないのはうすうす気づいていたんだけど。


 ついに、不渡りを出した。


 お父さんとお母さんが、あんなに頑張って働いていたお店なのに。




 
 店も、家も、みんな取り上げられて、お父さんは病気になった。




 すい臓がん。




 背中が痛いって言ってたから、私はよくマッサージしてあげていたんだけど、それはがんが進行した痛みだったの。



 市内に住むおばあちゃんの家へ転がり込むようにして、私たちはとりあえず居場所を確保した。



 お父さんの余命は1年って言われた。


 私はどん底にいた。


 


 


 




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