とりかえっこしようよ
 
 お店を立て直そうと必死だった両親は、保険も全て解約していた。


 そんな中でのがん宣告。



 もう、我が家には何も残ってなかった。



 それでも私は勉強を続けた。



 それがお父さんの希望だったから。


 大学生になった私が見たいって言っていたから。



「光には未来がある。しっかり勉強して、安定した仕事に就いて、幸せになって欲しい。お母さんのこと、頼んだぞ」


 お父さん、長くないって感づいてるんだね。


 
 でも、うちにはまだ中3の健くんもいる。


 破産した家庭で、子ども2人が大学に行くのは無理だってことくらい、私にだってわかる。


 私は就職することに決めた。


 大学は、働きながらでも学べる。


 市役所の試験を受けることにした。


 安定していて、親元を離れないで済むから。


 大学受験のための勉強を、就職の勉強に切り替えた。


 私がしっかりしなくちゃ、この家は崩壊する。


 
 でも、泣き虫な私は時々耐えられそうもなくなるよ。


 いっくん、会いたいよ。








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