とりかえっこしようよ

 後には、気持ちを立て直そうと必死のお母さんと、まだショックから立ち直れない弟、そして、ハリーだけが残った。




 私は、市役所に採用された。


 内気な私にとって、筆記試験よりも面接試験が問題だった。


 履歴書を見て、面接官が一番聞いて欲しくないことを質問してきた。


「お父様がいらっしゃらないようですが、どうされましたか?」


 終始圧迫面接のような感じだった。


 身内に市役所職員やコネがあるわけでもない、ただの高校生である私はいらないとでも言うように。


 こんなところで泣いちゃダメ。


 お通夜でも泣かなかったんだから。


 頑張れ、私。


「父はつい最近、すい臓がんで亡くなりました。亡くなる直前まで、私たち家族の心配をしていた、優しい父でした。まだ49日が済んでいませんので、きっと今もすぐ近くで私たちのことを見守っていてくれていると思います」


 まっすぐ面接官の眼を見て、言えた。


 私は負けないよ、お父さんの子だもん。


 笑顔はいつでも引き出せるの。



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