桔梗の場合。
第二章

仕事。

仕事は日に日に忙しくなっていく。

専属の雑誌には『桔梗ちゃん。今度はドラマ主演!!』なんて記事をもらった。

そのドラマの記事が4ページにインタビュー記事が2ページ。

その号は表紙を飾らしてもらったりして。

一つの雑誌だけでも大きい取り上げてもらってる。

その他の雑誌にも載せてもらった。

『人気急上昇中』って色々な所で謳(うた)って頂いた。

ドラマの撮影に映画。

仕事は好きで、誇りを持っている。

それに忙しいのも嫌いじゃない。

仕事でいっぱいになるから、お兄ちゃんの事を考えずにすむから。

そんなある日――

「歌手デビュー!?」

「えぇ。あるプロデューサーさんから御話を頂いたわ。
貴女の声が気に入ったんですって。
………桔梗ちゃん?
どうしたの?」

「その御話、OKしちゃいました?」

「えぇ。だって頂いた御話は全部受けるって貴女が……。
まさか、桔梗ちゃん……?」

そのまさかです。

「はい。歌だけは、本当に苦手で……。」

「どうする?今からならまだ間に合うわ。」

一度引き受けた仕事は断らない。

それがあたしの信念だから……。

「ううん。受けます。」
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