求愛ラバーズ
よく見たら色違いの携帯だった。




「ん〜…なんて言うのかな…。」


「葛城さん?」


「偶然?じゃ、しっくりこないんだよね…。」





頬に手を添え、携帯をジィーと見たままブツブツと呟いている。





「ねぇ三井さんっ。運命ぽいよね!たまたま携帯が一緒なだけで大袈裟なんだけど、これでお互い惹かれ合ってたら正真正銘運命だと思わない?携帯だけだから半分かな?」





俺は葛城さんに惹かれて、携帯も一緒だったから正真正銘運命だと思ってる。





30前の男が運命なんて口にしたら引かれるかもしれない。





けど、葛城さんに出会えた事が俺の中では運命なんだ。





「私が運命なんて似合わないでしょ?引かないで下さいね。じゃあ。」





ヒラヒラと手を振って葛城さんは行ってしまった。





体が熱い………心が燃えるように熱い。





葛城さんが好きすぎて苦しくなる。





姿が見れただけでバカみたいに嬉しくなって、鼓動が速まる。





もう、見てるだけじゃ物足りない。





フラれたくない、言いたくない。




けど、もう爆発寸前なんだ。




< 42 / 97 >

この作品をシェア

pagetop