求愛ラバーズ
葛城さんを見つめていると、戸高さんが加わり楽しそうに話してる。





「辛気臭ぇな。」





笑いを含んだ声が聞こえ、横を見ると――――





「チカっ?貴久くんも!」


「よぉ。」


「こんばんは。」





2人がスーツを着て立っていた。




「2人共、天宮の社員じゃないよな……なんで。」


「忘れたかぁ?ありさと親戚だって事。会長と一緒に入って来たんだ―――…もうわかるよな?」





不気味な笑みを浮かべるチカの後ろで苦笑する貴久くん。





「三井さん、ありさ出て行っちゃうけど追いかけなくていいの?」





さっきの扉を見れば、優雅な足取りで会場を出で行こうとする葛城さんがいた。





「行ってこいよ。」





チカに後押しされ、俺の足は葛城さんを追い駆けていた。





走るわけにはいかないから、早歩きで数メートル先の葛城さんを追い駆ける。





「――――っ、葛城さんっ!」


「きゃっ……えっ、三井さん?」





やっとの事で腕を掴むと驚いた表情で振り向いてくれた。





「もう、いいだろ?全部話してよ。」




< 74 / 97 >

この作品をシェア

pagetop