求愛ラバーズ
LOVE.9 -お見合い-
「ちょっと!嫌って言ってるでしょ!?」


「諦めたらどうなんだ?」


「あ の ねぇ!私は彼氏がいるのっ。前に話したでしょ?忘れたの?それともボケたの?」





畳の匂い、障子に映る2つの人影。





そのうちの1人は待機する俺がいるにも関わらず心底嫌がっている。





「ここまで来たんだ。いい加減諦めたらどうなんだ。」


「勝手に連れて来たんじゃない!?」

「相手側も待っている。今日はお見合いをするだけだ。付き合うか付き合わないかは自分で言えばいい。」


「付き合わないっ。帰る!」





女性がそう言い放ったが、男性がそれを引き止めとうとう障子を開いてしまった。





「待たせてしまったな。申し訳ない。」


「いいえ。」





立ち上がって会釈をし、顔を上げると男性の隣にいる女性は固まっていた。





「私は仕事があるんで失礼する。後は任せたよ。いい報告待ってるよ。」





男性は踵を返し、障子を閉め出て行った。





今だ固まり放心状態の女性に近づくが瞬き一つしない。





こうなるとは思ってなかったんだけどなぁ…。





「やっと会えた……ありさ。」




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