出世魚
どういう状況なのかスグに分った。

貼れと、ばんそうこうを。

ポケットからばんそうこうを取り出し彼にに近づく。

ドキドキした。

このドキドキが彼ににばれてしまうのではないかと
心配になるくらい緊張していた。

それでも平静を装って私は
人差し指にばんそうこうを貼る。

この指に触れられたいな、なんて
淡い希望を抱きながら。


「ありがと。」

彼はそう言ってまたシーバーをいじり始めた。

私は今度こそ居心地が悪くなって
売り場に向かった。
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