ボクがキミのおとうさん。
ボクはキミのお母さんには内緒で、お母さんの実家に向かったんだ。


お母さんが命懸けでキミを産もうとしてるのに、男のボクが何も出来ないのは嫌だ。


そう考えたらボクに出来るのは、お母さんが一番祝って欲しい人に頭を下げる事だったんだ。


でも当然、ボクはなかなか家に入れてもらえなかった。


ボクはどうしていいかわからず、誰も見てないのに、家の前でひざを付いて頭を下げたんだ。


カッコ悪いよね。


でも、それでも良かった。話ができるなら何でもやろうと思ったんだ。


しばらくすると雨が降って来て、まるで試しているかのようにボクをびしょ濡れにしたんだ。


秋の雨はとても冷たかったよ。


でもボクは後戻り出来なかった。


お母さんの為っていうのもあるけど、「アイツは根性がないな」って思われるのが嫌でね。


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