合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです
涙で崩れた化粧を直し、舞子はあたしのベールを下げると、ブーケをあたしの手に握らせた。

「裕子、あんたほんと綺麗。
幸せだよ、あんな風に雅樹さんに愛されてさ……
さ、行くわよ。
段取りはわかってるわね」

あたしは舞子に導かれ、チャペルの入口へと向かう。

そこには一人待つ、父の姿。

「じゃ、あたしは向こうで待ってるから」

舞子と別れ、父と腕を組み、扉の開かれるのを待った。

『ジャジャジャジャ~ン、ジャジャジャジャ~ン、ジャジャジャジャン、ジャジャジャジャン、ジャジャジャジャン、ジャジャジャジャン、ジャジャジャ……』

パイプオルガンの響きとともに扉が開いた。

結婚行進曲の調べに乗って、父とあたしは、ヴァージンロードへその一歩を踏み出した。

その先には、愛しい雅樹の姿。

あたしは、彼の姿だけを視界にとらえ、一歩一歩進んでいく。
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