合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです
「姉貴は出版関係っすから。
子供できたらフリーになれば、って言うのが通説みたいで。
元々不規則な就労体制な上に高齢出産で、産まれたら産まれたで、夜遅くまで新生児を預かってくれる保育所なんて見つからなくて。
結局、会社辞めたんす。
ま、姉貴は、これも編集者として良い経験になるって、以外と楽観的っすけどね」

そっかぁ~

森山姉にしても乗り越えられない壁があったんだ。

「そう考えると、あたしは恵まれてるね。
あんた達のお陰で、裕樹を社内保育室に預けられて、周りにも何かと助けられて。
ありがとね」

今更ながら、二人の存在と雅樹の手助けと会社のみんなの暖かい見守りに頭が下がる。

「いやぁ~、裕子先輩にそう言って貰えるだけで嬉しいっす。
でも、もう走り出した列車は止められないっす。
近々、社内保育室の取材に新聞社が広報に来ることになってます。
この夏のワークショップも取材したいって。
だから、裕子先輩も、覚悟しといて下さい」

急に真面目な顔つきになった森山の視線があたしに注がれた。
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