合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです
「男と女の違いを埋めることなんて、できる訳がないってことっす」

「成る程。で?」

「俺達男は、子を産む女の性を凄いって思ってる。
将来結婚して、子供が出来て、その未来を二人で分かち合いたいと思ってる。
だから、それが実現できる社会を目指そうって」

「そんなら、何も女を働かせなくても、自分がしっかり働いて女房、子供を養っていけばいいんじゃないの?」

「裕子さんが、それ言いますかぁ?
裕子さん、仕事止めて家庭に入って子育てに専念して、それで自分が幸せになれるって、ほんとにそう思って言ってます?」

「え、い、いやぁ、あたしは無理だけど……
そういう女性だって沢山いるんじゃない?」

「選択の余地のない社会は未成熟なんすよ。
今の日本は、働きながら子育てをしたいって考える女性の選択の余地が、極端に狭い世界なんすよ。
俺の姉貴だって、散々迷った挙句、一度退社して再出発を余儀なくされたっす。
姉貴の会社には社内保育室なんてもん、はなから期待できなかったもんな」

「森山のお姉さん?」

いつも森山を通して、あたしに的確な助言を与えてくれる森山姉には感謝していた。

一年早く子供を産んだ先輩として頼りにもしていた。

嗚呼、この姉がいるから、この森山なんだって納得もしていた。
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