合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです
あたしはこの展開に戸惑いを隠せない。

でも、拒むこともできない。

なにせ、白石は熊みたいな大男なんだから。

こいつが先輩、先輩って懐いてくるから、すっかり忘れてた。

こいつが男だってこと。ついでに、こいつがあたしを好きだってこと。

このままこいつの車に乗って大丈夫?

乗らないって選択肢もありかな?

でも、どうやって断る? この状況で……

逃げるには、分が悪過ぎるし、後の始末に頭が痛い。

あたしが、グルグル頭を悩ませていると、白石が突然あたしを抱きしめてきた。

「裕子さん。ほんとは、こんな強引な形で迫りたくはないんですが、今日は、どうあっても、はっきり答えてもらいたいんです」

「えっ?」

そう言うなり、白石があたしに唇を重ねてきた。

あたしの身体を、ガッチリと掴み、半ば強引に、優しく包み込むような熱烈なキスを。

あたしは正直、脳天をハンマーで叩かれたような驚きと、白石の熱い想いに気が遠くなりそうだった。

このまま、こつに身を委ねたら、それはそれで幸せなのかもしれない。

そんな想いが頭を過ぎった。
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