合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです
「僕じゃ、駄目ですか? 僕じゃ、木村課長の代わりにはなれませんか?」

あたしは、白石の言葉に現実に引き戻された。

そして、ありったけの力で白石を跳ね除けた。

「それ、どういう意味?」

あたしは、そう言うのが精一杯だった。

「いずれ解ることです。木村課長、離婚されたそうですよ」

「え? な、なんで……」

「僕も詳しいことは知りません」

「今更、そんな……」

あたしの頭の中は、やっぱり、と、なんで、が繰り返される。

あいつが妻子を大阪に置いてきたと言った瞬間、あたしの中に浮かんだ疑念。

その答えがこれ?

「裕子さんが、まだ木村課長のことを好きなら、今更でも遅くはないんじゃ……」

「それだけじゃ、済まないこともあるんだよ……」

「僕は、裕子さんが幸せになってくれなきゃ、いつまでたっても諦めきれないじゃないですか。それとも、この際、きっぱり諦めて、僕に乗り換えますか?」

「あっちが駄目なら、こっちなんて……あたしにそんな器用なことできる訳……」

「そうですよね。じゃ、やっぱり、はっきりさせて来て下さい。さ、乗って」
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