フェイクハント
 海人の説明を聞き終えると、篠田は優しく海人の肩にポンと手を載せた。


「そうか……後で四人にも話しを訊くことになるな。しかし、ここにまでチェスターが現れるとは。その仮面はやはり彼女の顔に?」


 遥の遺体の周りには、すでに鑑識が集まっている。仮面を透明な袋に入れているところを指さして篠田は海人に質問した。


「はい、仮面は着けられていました。秀樹、いや、後藤秀樹が真っ先に取り外してしまい、完璧な現場保存になってないですね……すみません。私も気が動転してしまい、刑事失格です」


「仕方ないさ、親しい友人が、立て続けに二人も殺されたんだ。早瀬大丈夫か? 捜査の担当外れるか?」


「いえ、捜査続けさせて下さい。友人のためにも、チェスターを捕まえます」


 海人は篠田の目を見てハッキリと云った。

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