フェイクハント
「そうじゃないよ、一件目の事件と二件目の事件で、使われた凶器の販売店から割り出した人物で、さっき任意同行させたばかりなんだ。明らかに黒に近いけど、まだ、断定までは出来ていないんだ。これからの取調べで、色々分かってくると思う」


 篠田の代わりに海人が答えると、涼は立ち上がった腰を、力の抜けたようにストンと椅子に下ろした。


「今早瀬が云った通り、この取調べで色々分かってくるだろうから、今日は三人とも帰っていいですよ。ご足労かけました」


 篠田がちょこんと頭を下げると、涼は海人に「帰るね」と一言告げ、典子と秀樹と三人で部屋を出た。
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