フェイクハント
 そして涼と海人はリビングの椅子に腰掛け、向かい合ってコンビニのお弁当を食べ始めた。あまり食事を取ってなかったせいか、食欲がないことも手伝って、二人とも食べきれず半分くらい残してしまった。


「海人、チェスターは犯行を認めたの?」


「いいや否認を続けてる。他の方向から確かな証拠を見つけない限り、自供は難しいな」


「そう。さっき考えてたんだけど、始めの三件までの事件は無差別殺人って分かるけど、静夫達には共通点があるわ。何でチェスターは、四件目以降の殺人を無差別にしなかったんだろう」


「そうだな、正確には静夫まで無差別殺人だったんじゃないかな、そして静夫のお通夜にきて、偶然遥を殺して、そして雪絵が河川敷にいるところに、チェスターが現れて殺したってことかもしれないよ。雪絵が河川敷に行く理由としたら、静夫の浮気相手だった雪絵なら、静夫が殺された場所に行くのも不思議じゃない」


「そうね……犯人はよく犯行現場に戻るって云うし、チェスターが河川敷に戻ったところに、たまたま雪絵がいて、それで……。とにかく早く犯人が捕まることを願うわ」


 涼は下唇を噛み、どこかを睨みつけたような目は、犯人ことチェスターに対しての怒りを露わにした。
< 59 / 79 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop