フェイクハント
「海人、今捕まっているチェスターのムチから何か分かんないのか?」


「ああ、鑑識の結果が出たばかりだが、三件目に起きた学生の皮膚の組織と、凶器のムチから採取した組織が一致したよ。しかし残り三人が、同じ凶器で殺された証拠は何一つ出てこなかった。おそらく、凶器のムチはそれ一つじゃなく、まだチェスターがどこかに隠しているってことかもしれないな。それも視野に入れているよ」


「チェスターの奴、用意周到なのかもしれないな」


 海人から捜査の状況を聞いた秀樹は、拳を握り締めていた。


 ブーッブーッーブーッと、涼のバッグに入っている携帯が振動した。

 涼はみんなに「ゴメン」と云うと、応接間を出てから、廊下で通話ボタンを押した。


「早瀬涼さんの携帯電話で宜しいですか?」


「はい、そうですが」


「篠田です。今、私から電話だということは、誰にも云わないで下さい。もちろん早瀬にも」


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