王国ファンタジア【氷炎の民】完結編
「やあ、麗しいお嬢さん。ご用は何かな?」
サレンスはいつもの穏やかであるが、軽い調子で話しかける。
しかし、幼い少女はにべもなかった。
「あなたのようなおじさんには用はないわ」
「お、おじさん……」
姫君の辛らつな言葉にさすがのサレンスもがっくりと項垂れる。
その背をクラウンが無言で慰めるように叩く。
どうやら彼女もこの王妹殿下に手を焼いていたらしい。
幼い姫君はつかつかとレジィのもとに歩み寄る。
そして。
「あなた、私の従者になりなさい」
「はあ?」
唐突な姫君の言葉に眼を丸くするレジィ。
「もっと視野を広めるために世間を見て見聞を深めたいの。そのために旅に出ることにしました。けれど、私は王族です。従者が必要です」
「それで、何で僕なんですか?」
もっともな疑問である。
相手はなんと言っても一国のお姫様である。レジィのような子どもをわざわざ指名しなくてももっと立派な成り手くらいたくさんいそうである。
しかし、このお姫様はわが道を行く。
「私が気に入ったからよ」
「そんな理由?」
「光栄に思いなさい」
高飛車に言い張る少女にレジィは眼を瞬いた。
「あー、でも僕、サレンス様の従者なんです。あなたの従者にはなれません」
穏便に断ろうとしたレジィであるが、王妹殿下には通じなかった。
逆に詰問される。
「どうしてですの?」
「どうしてって、サレンス様だけでも手がかかるのに、その上あなたまでは」
もっともな言い分ではある。
「わかったわ」
彼女はくるりとサレンスに向き直った。
サレンスはいつもの穏やかであるが、軽い調子で話しかける。
しかし、幼い少女はにべもなかった。
「あなたのようなおじさんには用はないわ」
「お、おじさん……」
姫君の辛らつな言葉にさすがのサレンスもがっくりと項垂れる。
その背をクラウンが無言で慰めるように叩く。
どうやら彼女もこの王妹殿下に手を焼いていたらしい。
幼い姫君はつかつかとレジィのもとに歩み寄る。
そして。
「あなた、私の従者になりなさい」
「はあ?」
唐突な姫君の言葉に眼を丸くするレジィ。
「もっと視野を広めるために世間を見て見聞を深めたいの。そのために旅に出ることにしました。けれど、私は王族です。従者が必要です」
「それで、何で僕なんですか?」
もっともな疑問である。
相手はなんと言っても一国のお姫様である。レジィのような子どもをわざわざ指名しなくてももっと立派な成り手くらいたくさんいそうである。
しかし、このお姫様はわが道を行く。
「私が気に入ったからよ」
「そんな理由?」
「光栄に思いなさい」
高飛車に言い張る少女にレジィは眼を瞬いた。
「あー、でも僕、サレンス様の従者なんです。あなたの従者にはなれません」
穏便に断ろうとしたレジィであるが、王妹殿下には通じなかった。
逆に詰問される。
「どうしてですの?」
「どうしてって、サレンス様だけでも手がかかるのに、その上あなたまでは」
もっともな言い分ではある。
「わかったわ」
彼女はくるりとサレンスに向き直った。