腐女子とナル男の奮闘記。
SECOND

1.お嬢の憂鬱



「で、どーなの?答えなさいよっ!」


ガランガランッ!


空のバケツを勢いよく蹴り飛ばす女。



あー……全く。何故こんな目にあわなきゃならないんだ?


目の前にはケバケバな厚化粧をし、金・茶・ピンクとバリエーション豊かな髪が並ぶ。共通点と言えば、どの女もあたしを睨み付けていることくらいだ。


そう、あたしはまさに漫画でよくありそうな、体育館の裏に呼び出されたのだ。


これが学生ver.咲夜様だったら良かったかもしれない。
男達に目を付けられて冬夜様を装って呼び出し。じりじりと追い詰めてくる男達。やめて!と泣いて懇願するが、それは反対に男達を煽るだけ。
もうだめだ……と思った時。本物冬夜様登場!男達を瞬時に一掃!
泣いている咲夜様に『もう離さない』の一言と熱い抱擁と……口・づ・け!


という妄想をしてみたが、今目の前にいるのは違う。
相手の嗅覚を麻痺させるような香水、殴られたら痛そうなたくさんの指輪、防御力を上げてくれそうなルーズソックス……と様々な装備をした女たちに。

それから咲夜様のポジションには悲しいことにあたし。第三者として見てる分ならまだしも。全く。


思い当たることがないわけではない。そう、さかのぼればあの時から──。


あいつと出会ってしまった頃から。
更に最近はまとわりつきっぷりが、特に酷かったから。





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