わたしと保健室と彼~4つのお題+α


 そのまま硬直したあたしを、先生は背後から抱き締めた。


「でももう、送られてはこないので安心して下さい。先程、お付き合いしている女性がいると連絡しましたから…」


 お腹の前で組まれた先生の腕。

 お見合い写真を戻して、その腕に触れる。


「ほんと、に…?」

「ええ」


 耳元で、先生が微笑んだ気配がした。


「これで、解決しましたか?」

「……うん…」


 頷いて、先生に凭れるように体を預けた。

 顎に指がかかって、そのまま斜め後ろに上向かせられる。


「3年、待ちますよ。でも卒業したら――…」


 唇が、触れ合った。


 卒業したら。

 ねぇ、その続きは、何?


 あたし、もっともっと貴方を好きになっても、いい?

 子供だし、気ぃ強いし、女らしくないけど―――…




「ところで。そろそろ“先生”は止めませんか?」

「えっ…じゃあなんて呼べばいい?」

「名前で、いいですよ」


 今更恥ずかしい、なんて若干の抵抗と闘いつつ、あたしは小さく呟いた。


「――莉仁(リヒト)さん…、ひゃっ!」


 すると突然、お腹に回された手がそのままあたしを持ち上げて。

 乱暴に、先生のデスクに座らされた。

 開いた膝の間に、先生が割り込むその格好に、恥ずかしくて顔が赤くなる。


「……止まらなくなりますが、いいですか?」


 熱を持った、瞳。
 あたしの視線ごと絡めとる。


 何が、と問う間もなく、唇を塞がれた。





~end
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