運命の恋~先生を抱きしめたい~
同情と愛の違い
「紅?大丈夫?」

母の声



「ん・・・大丈夫」



「さっきの人が先生なの?」



「うん…えへへ…
耐えきれなくて呼んじゃったよ。
ダメだね…私…」



「パパが言ってたから
『自分ができることが
きっとある』って言ってくれたのよね。
会わなくていいの?
心配してるんじゃないの?」



「せっかく時が経って
先生の記憶からも薄れてきたのに
私ったら自業自得だね……」



後悔していた。
ついつい自分の存在を
忘れてほしくなかったのかも
知れない・・・・・。



「先生ができることは
きっと同情だよ・・・・・
そしてそばにいてくれても
悲しいだけ・・・・・
もっと時間があったら
先生に私をちゃんと見てもらえたのに
負担になるのは絶対にイヤなの……
それじゃ…いつまでも二番目のままで……
先生の心の傷を癒してはあげられない。
自分の傷は癒えても……
二番目のままだから……」



母は
「そっか・・・・」
そう言ってそれから何も言わなかった。


そう言っても
涙だけは溢れ出る・・・・。
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