ドライヴ~飴色の写真~
「すごいでしょ、オレのコレクション」

 十雨くんが、自慢げに話す。

 一体何枚…いや、何十枚あるのだろう。

 しかし、それらは以前封筒に入っていた物らとはある部分が大きく違っていた。


 全部、制服姿で写っている写真だ。


「この写真は…ほとんど汽輪くんが撮ったものだったんだね」

「そうだよ、よくわかったね。太郎はすごく写真をとるのが上手なんだ」


「なんで、汽輪くんを…こんなふうにしたの?」

 私は、目の前で倒れたまま動かない、汽輪くんを見た。


「太郎は、オレのことが好きなんだ。
 こいつと恋人として付き合うのを条件に、協力してもらって、先生の写真を撮ってもらっていた。
 太郎にとって、先生はただの作品の被写体に過ぎなかったみたいだったけどね」


「付き合うって…原田さんは?」


「先生、オレはね、誰とでも付き合えるし、誰とでも寝れるんだ」


 言葉が出なかった。


 十雨くんは、続けた。

「でもね…今日のこの計画を、さっき話したときに太郎が逆上しちゃって。思わず強めに殴っちゃった」


「十雨くん…原田さんのこと、本当に心配してたじゃない」

「心配してたよ。彼女だもん。変な奴に狙われたかなと思ってさ。そしたら、太郎がただ単にすごい傑作の作品が出来たから見せびらかしたかったんだってさ。本当人騒がせだよね。…軽率だしさ」


 十雨くんが、汽輪くんを蹴った。


「あー、動かないな。もしかして本当に死んじゃったかな。まあ、いいや。カメラマンいなくなっちゃったけど、そろそろ計画を始めようかな」


 十雨くんは横に汽輪くんの一眼レフを置いて、ゆっくり私の制服のベストに手をかけた。
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