僕の唄君の声


(玲視線)


そんなこんなを繰り広げ、壱葉を自室へ案内する。

自室へはリビングの横の廊下を通らないと着けない。

そして、そのリビングから凪の声がして、

「パパママ!れいくんのかのじょ、美人さんだよ!」

と叫んだ。

その直後、ゴホッ!という噎せる音と
そうなの〜?ママも会いたいなあ〜
という高い声がした。

多分、兄さんはビールにでも噎せて、
奥さんの菫(すみれ)さんは天然爆裂、
ってところだろうか。


それを聞きながら階段を上がったわけだが、それにまたまた赤くなる壱葉。

ああ、もうほんと‥‥



「‥かわいい」

「は‥っ!?」

「‥キス」

「いや、ここ廊下だし」

「あと5歩で俺の部屋。」

「か、かかかか帰ろうかな」

「‥ダメ」


先を歩かせてた壱葉の腰にガシリと腕を回してこちら側に引く。
ついでに耳元で吐息混じりの囁き。


すると不機嫌そうに壱葉が腕を抓ってきた。

「痛ェよ馬鹿。」

「‥ずるい」

「何が?」

「‥‥‥だ‥‥しい‥」

「ん?」

「わ、わたしだけ、恥ずかしい、とか」

「‥は?」

「だ、だって玲慣れてる、し」

「‥‥。」

「キ、キキ‥!‥ち、ちゅう、とか」

「(キスって言えねェんか。)」

「軽いこと、みたいだし」





――――‥‥あ゙?




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