僕の唄君の声



「‥ん?」


いつの間にか寝てしまったらしい。肩に重さを感じて目を覚ませば、玲が隣にいた。


「なんで、いるの?」


寝ぼけた頭はのったりとした言葉しか紡げないらしい。


しかし困った。

動けない。



やることなくキョロキョロすれば、ノートが無い。そこでもやはりキョロキョロすれば、玲が何故かシャーペンとノートを持っている。


バッと取り返せば、玲が目を覚ました。



「ん〜‥、」


「‥!」


「あ、起きてる。」


「、ども」


「ノート、読んだ?」


「、はい?」


「だから、そのノート。」


「こ、れ?」


「そう、それ。」


「‥‥‥‥っ!」





この男が指差すところを読んでみれば、まさかの文字。見覚えのあるその文字は、目の前の男のもの。



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