グレーな吐息~せぴあなタメ息③~
類はひるんだ。
でも、相手は今日の主役だ。
無下に扱うこともできない。
嫌だけど、
引きつった顔に、無理に笑みを貼り付ける。
その間にも、まじまじと観察されている。
「あ」
武藤は突然驚いた。
「さっきのヴォーカルの子か!!」
「そうです」
「衣装で、こんなに雰囲気が変わるのか。
あの、歌のうまい子は、
こんな可愛い子だったのか」
類の腕を掴む手に、力がこもってくる。