姫密桜

細い手首

コンビニの前
彼女は、槇の事を
放してはくれない。

槇の腕にしがみ付き
彼に寄り添い

真赤な瞳から溢れる涙を
手で拭う。

心配そうに彼女を見守る
槇を、私は店内から
見つめていた。

「サクラ、槇の分も
 何か選んでやって」

私は、可愛いデザートが
並べられてある棚の前に
立ち、どれにしようかと
見つめる。
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