姫密桜
屋上のドアの前で
私の足は止まる。

「サクラ・・・
 どうしたの?
 あっ、オリグチさん
 もう来てるね」

「うん・・・」

槇の隣は、私の場所
だったのに・・・

彼女は、当たり前のよう
に、その場所に座り
槇だけを見つめる。

そして、槇の口に
お弁当のおかずを
食べさせてあげて
微笑んだ。

「オリグチさんってさ
 マキさんにしか
 あんな顔
 見せないよね
 
 きっと、マキさんの事
 が好きなんだろうね
 
 ああしてると、二人
 恋人同士みたい」

 

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