姫密桜
頷く、槇に
微笑みかけた母は
部屋を出て行く。

槇と、二人きり・・・

「じゃあ、私も・・・」

「サクラ
 もっと、近くに」

低い声でボソっと
私を呼ぶ、槇

ベッドの傍へ近づくと
槇の手が、私の手に
触れる。

「サクラ・・・」

ついさっき、口づけた
槇の唇が、私の名を呼ぶ

「どうしたの?」

「俺が、眠るまで
 ここに居て」

子供のように甘える貴方

愛しい、あなた・・・

「いいよ」

私の手に触れたまま

貴方は、また

瞳を閉じた。
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