姫密桜
「そう、ママったら
 貴女の決心に水を差すような
 事を言って、本当、バカね
 ごめんなさい

 ほらっ、行きなさい
 
 マキにいっぱい甘えて
 楽しんでくるのよ」

明るく、大きな声で母は言う

娘の愛する人との、束の間の
幸せの時が、楽しいものと
なるように、千草は微笑む。

私は、母から鞄を受け取り
慌てて階段を降り、そのまま
リビングへは顔を出さずに
玄関先へ直行した。

「サクラ
 出掛けるのか?」

そこに、新聞を手に持つ
父が現れた。

いつも以上にお洒落をした
可愛らしい娘の姿に
父は問いかける。
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