動き出す時計
中学生くらいまでは、母方の祖父母が面倒を見てくれていた。

しかし、加齢に伴い祖父の身体の自由が効かなくなって祖母の負担が増え始めると、祖母の体調も悪くなってきてしまった。

見かねた柚音はもう一人でも大丈夫だからと、祖父母の反対を押し切り一人で生活していくことを決心したのだった。


自分を大切に育ててくれた祖父母。母親は、一度だって二人に会いに来たことはない。


そんな母親を幼い頃から見てきた柚音は、どうしても母親を好きにはなれなかった。


たまに電話やmailが届くこともある。


柚音はそんな事がある度にイライラが募った。


どうせ忙しいならわざわざ連絡くれなくったって良いのに…。

電話してたって、話したい事を話そうとするたびに「ごめんね、もう切らなきゃ」と一方的に切られる。


mailを送っても返信は来ない。


連絡を取りたくもなくなるのだった。


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