HEMLOCK‐ヘムロック‐番外編
渋滞を抜け、俺と樒はギリギリ19時前には店に帰ってこれた。
既に聖邇や何人かのホストが俺達同様に同伴客を連れて来ている。
シメ日には皆、自分の上客を連れてくるのだ。
俺は同伴自体が初めてだったので、順位は兎も角、今日の自分の売り上げに期待してしまう。
「それでは今夜も『ARIA』開店でーす!!」
パーンとクラッカー音と共にトランス風にアレンジされたオープンテーマ『G線上のアリア』が流れ、営業が始まった。
色んな客がボトルを入れ出す。
しかし樒は…
「シャンパンタワー!!」
ホストクラブの名物でもあるシャンパンタワー等は、華やかで豪勢で値も張るため、普通もっと盛り上がってからオーダーされるものだが、樒はのっけからそれをオーダーしたのだ。
コレにはホスト達も彼らを支援しに来てる上客も店のスタッフも唖然としていた。
「昴! コールして!!」
俺はマイクを持って初めてのシャンパンコールをやった。
あれだけは二度とやりたくない。
それくらい恥ずかしかったのを鮮明に覚えている。
他の客も樒に煽られ、負けじと高級ボトルを入れてゆく。