HEMLOCK‐ヘムロック‐番外編
 車のキーも全部付いてるのに、どうやって帰る気だ…

 俺はキーケースを持って来る時に2000GTを止めた駐車場へ向かった。






「昴、気付いたかなぁ~? キーケース置いていったの」


 私はわざとキーケースを置いていった。そんでもって、駐車場で待ってみたりする。
昴が気付いて持って来てくれないかな?


……今日はシメ日だからそんな場合じゃないか。

 来てくれなかったらそれでもいい。
車は元々、昴にあげるつもりだったし。


どのみち、もう会えない……



カツンカツンカツン


 もう、諦めて帰ろうかと思ってたら、遠くから足音の反響が聞こえて、

昴!? 来てくれた?

そう思って彼を呼ぼうとした。


「すば――」



「一体何なんだあのブツは? ウチの者に試させたが凄い効果だったぞ」

「鬼郡(おにごおり)組が仕入れたのをウチの店で極秘に流してんです。まだ日本で扱ってるのは鬼郡組とウチだけですよ」


 あれは……、『ARIA』のJINってホストもう一人のオヤジは知らないけど。
今、『鬼郡組』って言った!?



 私は、“ソレ”を知っていた。



「錠剤タイプってのが面倒だがな」

「確かに今時珍しいかもしれません」

「しかし鬼郡組はどうやって『HEM』を手に入れている?」
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