HEMLOCK‐ヘムロック‐番外編
「人が攫われたんだぞ!?」
「そうなっちまったな」
聖邇は静かに言った。
「でも俺がそこで登場したってさすがに車は止められねーよ。“そっち”は然るべき奴に頼んである」
「し、然るべき奴って何だよ? ……樒が助かるのか?」
「まぁ そういう事だ」
意味が分からない。聖邇はこうなる事を予測していたのか?
「お前、俺と同じ様に仁さんに騙されてたんじゃ――?」
「違……ぅ」
仁さんが急に口を開いた。顔は真っ青だが、脂汗が滲んでいる。
「俺は聖邇に、は、煙草……麻薬のコト……話して、ねぇ。
俺、が騙したの、は、昴と他、3人のホストだけ。俺とオーナーとで、昴達騙して……麻薬を……。
聖邇には、話して、ねぇ……」
撃たれたせいか、仁さんは犯行を自供するかのように話した。
俺は真実を理解した分、新たな疑問を抱えるハメになった。
「何で、聖、邇……お前、知ってんだ?」
「そうだよ。お前、俺に仁さんの煙草の事、相談しに来たじゃんか!?」
「相談じゃねぇ。探り入れてたんだ。誰がJINさんと共謀して麻薬を捌いてんのか。
俺はお前を疑ってたんだ。透」
俺は衝撃に目を見開いた。