HEMLOCK‐ヘムロック‐番外編
「聖邇、お前何なんだ? 何で俺の名前知ってんだよ!?」
俺の名前を知ってるのは黒服時代からの付き合いの仁さんとオーナーだけ。
「店で会って、俺はすぐ気付いたぞ? まぁ、お前が気づかないのは無理ないか」
聖邇は自分の、襟足が伸びた茶色い髪を掴んだ。
なんと髪はかつらで、取り去ると黒いネットを被った頭が露わになった。
聖邇は地毛をまとめていると思われるネットをも外した。
彼の地毛は地下駐車場の蛍光灯のせいではなく、そのものが真っ白であった。
「まさか――」
「久しぶりだな。透」
「お前、伯方 界……?」
前編で少し触れたと思うが、俺と映は生まれた時から孤児だった。
赤ん坊の時、2人揃って孤児院の門の前に棄てられていたらしい。
だから俺達はその孤児院で育った。
伯方 界(はかた かい)とはその孤児院で出会った。
俺が11歳、界が12歳の頃に界はやって来たのだ。
「ねぇ、界君だっけ? サッカーやるんだけど、入ってくんない?」
「……」
界は元々は普通の小学生だった。
が、ある事件でいきなり両親を失い、孤児となった。