HEMLOCK‐ヘムロック‐番外編
 そのショックとストレスは彼の頭髪を真っ白にするだけでなく、心まで虚ろにさせた。

界は心に壁を作り、人を寄せ付けず、いつも独りでいた。
真っ白な髪という風貌も、孤児院の少年少女達から浮いてしまう原因だった。

 その2年後、14歳になった伯方 界は黒菱 灰仁という人に養子に迎えられ、孤児院を去った。
さらにその1年後に俺と映も駆藤家の養子となったのだ。

 界とは2年同じ場所で過ごしたが、俺は一度も笑った彼を見たことはなかった。







 界と別れて9年、あの虚ろだった少年が、微笑んで俺の前に立っている。

あの頃と変わらない白髪を携えて。


「さすがにこの頭見たら思い出しただろ?」


 界は苦笑いした。


「あぁ……。でもまさか界がホストになってたなんて。誰も想像できねーよ」


 むしろ顔だって記憶から霞んでいたのに。
過去の界と聖邇の正体だった現在の界が俺の中で上手くリンクしない。

「いやいや、俺はホストになった訳じゃねーって。てか俺だってお前がホストなんかなってっから、びびったわ!」


 初めて界とこんなに会話した。


 これが俺達の再会だった。


 その時、遠くからパトカーのサイレンが聞こえてきた。
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