花鎖

・From the beginning.



「レイお兄様!」
「やあ、レナ」

ふわりふわりと、少女は着ているスカートを揺らす。頭1つ分大きい己の兄を、下から見上げる。
少女の兄はいつも少女を見ている。その目は優しかった。そして、その裏にある狂気を隠しながら。

「お兄様はどの花がお好きですか?」
「花?・・・僕はどの花も好きだよ。いろんな花言葉があって、面白い」
「花言葉、ですか・・・。女の人みたいですね!」
「そう?でも・・・、意味を知っていて損はないからね」

時折少女に花を贈る青年は、花言葉に詳しかった。だから、あえてその意味の言葉の花を贈っていた。
ふと、青年の目にとまったのは、真っ赤な燃えんとせん薔薇。その薔薇を、棘が指に刺さるのを気にせず、千切り取る。
青年の手は、血で濡れた。

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