俺様な彼氏
〜Side 稜〜


魅夜と距離を置くことになってから日にちが経っている。


思い出すのは笑顔やいじけた顔、潤んだ瞳、真っ赤になる顔、寂しそうな顔…。


全部俺がさせた表情ばかり。


体育祭の練習中だってのに視線は魅夜ばかり。


友達と無邪気にしている表情を見て…笑ってて嬉しく思った反面、誰にもあの表情を見られたくないとも思った。


俺…独占欲強いよな。


頭を冷やすため木陰に入った。


「稜………」


ふと聞こえてきた声は…どこかせつなげで…俺を思ってるような…そんな愛しの人の声。


反対側に行けばすぐにでも触れて抱きしめることのできる距離。


それが出来たらどんなにいいことか全く分からない。


伸ばしかけた手は行き場をなくし━━━空を掴んだのだった。


それから数日後。


授業があったが隣の席・魅夜はサボりのため、空いている。


気になるのはもう一つ空いている席。


雪斗………。


その日の夕方に呼び出された俺。


雪斗に


「絶対に幸せにしろよ」


とだけ言われた。


この一言で決心がついた。


待ってろよ…魅夜…。


〜Side 稜・終〜


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