(KS)Brand new cherry.
思ってもいない返事が来たからなのか、僅かではあったが永は石のように固まり、

なかなか言葉を発そうとはしなかった。自身の中にあった疑問点を思い出すまでは。


「私は藤市さんと、その、あの」


今度はみずきが言葉を発する事を躊躇った。先程の永と同じ様子である。


「みずきも人の事を言えるような事ではないじゃないか」


みずきが藤市との関係を答えるよりも早く、永が言葉を口にした。

その言葉にみずきは関係を言うよりも早くに、


「それもそうですね。失礼しました」


と永に苦笑交じりで謝罪をした。

永が笑みを小さく浮かべると、みずきの右手を手に取り自分の来た道へと歩みだした。
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