(KS)Brand new cherry.
唐突の出来事であったからであろう。みずきは戸惑いを隠せずにいた。

永に何処へ行くのかと問い糺(ただ)しても、永は答えようとはしなかった。

みずきは抵抗をしようとは思わなかった。

藤市の友人だからというのは勿論ではあったが、

悪い事は決してしない人間だと直感で感じたのだ。

枯れ木の森を真っ直ぐに進む二人ではあったが、

不運にも共通の捜し人である藤市に遭遇する事はなかった。


「此処に居ろ。奴は必ず此処に現れる」


永とみずきが辿り着いた先は湖であった。

底まで見える程に透き通り、湖面は太陽光が当たり、揺れる波を光輝かせていた。


「此の場所は何なのでしょうか」
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