晴男と雨女
~~~美佳サイド~~~

あの人は今何してるのかな?

保育園で仲良くなった男の子。
「笑ってれば苛められない」そういってくれた。
引越し前に先生に名前を聞いて覚えた高凪優貴斗。
どこか出会えたら良いなと思っていたの。

「あの、先輩があなたを呼んでくださいって・・・」
「私を?」
急に呼ばれて座ったまま男の子が指している方を見た。そこにはあの頃と変わらない彼、高凪優貴斗が立っていた。その周りには女の子も居た。そんなの気にしない。
「私に何か御用ですか?」
そういうと彼はじーっと私を見ていた。そして開口一番出た言葉は・・・
「お前さ、何で化粧しないんだよ?絶対可愛くなると思うんだけどなぁ。」
化粧ですか。流石に昔から変わらない言動だ。確かに同級にも言われたけど化粧品自体が私には合わないから使えないだけ。でも説明するのも面倒だし、簡単に交わしておこう。

「人それぞれですよね?あんなケバケバしいのがいいんですか?高凪優貴斗さん。いえ、先輩でしたね。」
「いや、軽くだぜ。入学式だしな、また来るわ。」
そう言って自分の教室に帰ったのだろう、三年生の教室の方へと歩き出した。しかし、先輩女子が因縁つけてくる。
「優貴斗先輩に可愛がられるって何様!」
「あんたみたいに暗いのは只の気まぐれで見に来てるだけなんだからね!」
「先輩方こそ何様ですか?私に会いにきたのは、高凪先輩の方ですよね?私は来てくれとは言ってませんので、何様もないのですが?何か文句でも有りますか?有るならどうぞ此処で言ってください。」
全員が黙った。只の一年で根暗なら言い返さないとでも思ったのだろうか?私はそんなに弱くない。あの日自分に彼に誓ったのだから、誰よりも体も心も強くなると。

「美佳恐いよ。」
「いつものことじゃない。根暗で悪いかって言うの。」
「美佳っていつも負けないよね。」
「喧嘩もね。」
「恐れ入ります。」
そうやり取りしている彼女は芯。名前で芯って珍しいねっていったら笑ってそうそうと答えた。
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