忘れ物。
最後に、何か言いたい・・・
何か言いたいけど・・・何て言っていいかが分からない・・・
レイが手を振った時、毎日こうやっておどおどする。
その間に、レイは電車から降りるんだ。
その後は、後悔しかないんだけど。


♡。*.+゜♡゜+.*。♡。*.+゜♡


「これが、私の彼氏!」
ミカちゃんの携帯画面に映った、柄の悪い男。
どうやら、昨日彼氏ができたらしい。
早速、彼氏自慢にやってきたのだろう。

「へえ、良かったね。」
私は適当にあしらい、机にバックを置いた。
基本、ミカちゃんのような性格の子はあまり好きではない。
ミカちゃんと話す内容は、9割が自慢になっているような気がする。

「ねえ、麻ちゃんは彼氏出来ないの~?」
相変わらず、うっとうしい話し口調なミカちゃんに
今日も若干イライラしている。
私に彼氏がいない事なんて、とっくの昔から知っているくせに。
全く性格の悪い人間だ。

「出来ないよ。」
「え~?彼氏いなくてつまんなくな~い?あたしだったら絶えられないな~。」
だったら昨日までどうやって生きてきたのだろう。
私はミカちゃんを無視して、奈緒(ナオ)の所へ走った。

奈緒は私の小学生からの親友で、一緒に中学受験を乗り切った仲間だ。


「ミカちゃんね。彼氏できたんだ。」
「そうらしいよ。今日も私に自慢。」
私は肩をまわしながら言った。

「無視しとけばいいじゃん。そんなにうざいなら。」
奈緒は腕を組んで私にそう言った。
相変わらずサッパリした人間。そして強い。
相談事は、いつも一言で終わらせる。

「でも、ミカちゃんも彼氏できて・・・。私いつになったら彼氏出来るんだろね。」
苦笑いをしながら言った。
「そのうちできるよ。」
奈緒は、また一言で終わらせた。
奈緒にも彼氏がいる。
去年から付き合っているらしいが、今はあまり仲が良くなくて、微妙な関係とは聞いている。
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