レイコーン
試合が始まると頭上に浮かぶ大きな水球に
各人の映像が流れた。

闘技場のどこの位置からでも同じように見える優れものだ。


「テレビみたいだね」


マールはリリーに耳打ちした。
いよいよ彼らの試験が始まる。

 

「・・・4・・・5・・・」

 

観客席から彼らを数えると
そこにいた志望者は5人だけだった。

ニコスのほかにいたのは
細身の人に、ニコスの体の3倍はあろうかと言う全身髭もじゃの大男、
そして甲冑に身を包んでいる人2名。

 

アリーナの真ん中にある石段の舞台を挟んで反対側には王と、
それぞれの隊の兵士長たちがいるようで、じっと試験の様子を見つめている。

 

「うぉぉぉぉぉぉぉ!」

  

画面からは大男が斧を振りわす姿が見れた。
特訓かかしを相手にしている。

 

マールが画面に見入っていると横から声が。

 
「あっ!さっきの・・・。」

「げっ!」


王の間の前で会ったクロガネルファンの衛兵さんだ。
 
 
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