きっと世界は君のもの
適当に電車に乗り、降りては目的もなしに歩いた。
誰も居ない、小さな公園を目にして
あたしはブランコに乗る。
『今日、あたしの誕生日なのに』
ギィ、と静かな公園にブランコの音だけが鳴る。
『まさか誕生日に、遊ばれるなんて』
それだけ、あたしのことはどうでもよかったんだ。
そう思うと、糸が切れたかのように冷静だった心は一変し、鋭い刃物で傷つけられたような痛みが心を襲う。
『ふぇっ・・・』
やだよ。別れたくない。
こんなに大好きなのに。
あたしだけを好きでいて、って我が儘言わないから。
遊びでもいいから、傍にいさせて。
夕焼け色に包まれる空が、なんだか無性に虚しくみえる。
―ヴ-ッヴ-ッ
ふと携帯のバイブが鳴っているのに気付く。
( いまどこ )
素っ気無い冷たい文の彼からのメール。
見れば他のメールも着信も何度かある。
『返事、どうしよ』
・・・いいや、無視しとこ
そう思い携帯を仕舞おうとしたとき、今度は電話がくる。
『・・・・』
出ちゃ、いけない。
そう思っているのに
『・・はい』
体は彼を求めて動いてしまう。
「どこにいんの」
電話越しの彼はひどく怒っていて、思わずビクリと震えてしまう。