呪いのテディベア Ⅱ

「今日、帰り道を一人で歩いてたら、
 突然ボールをぶつけられたんだ。」

あの女に怒られた時よりも
しゅん、とした様子で
おずおずと告げてくる。

「誰にぶつけられたの?」

「…。」

「ねえ、誰?」

しばし、夢徒は言うのを渋っていたが、
私が少し微笑むと
またおずおずと言った。

「勇太と、汰一」

「…そう、」

私はそう言うと、
夢徒を両腕で包みこんだ。

そして優しく抱きしめる。

「ごめんね、怒鳴ったりして」

「…ううん、平気。
 慣れてるもん。」

そう夢徒が言ってから、
私は少しだけきつく抱きしめた。

大切なものを誰にも傷つけさせないように。










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