月と太陽の事件簿12/新幹線殺人事件 静岡‐掛川間49・1キロの謎
それに、と伯父は付け加えた。

『達郎自身も麗美に協力したがっているからな』

「え…?」

あたしは思わず聞き返した。

「達郎がそんなこと言ったんですか?」

『達郎はもうしばらく海外にいるつもりだったらしいが…』

伯父の声はどこか楽しげだった。

『麗美が捜査一課に配属されたと話したら、じゃあ帰国すると即答した』

「…」

『だから気にすることはない。思い切りこき使ってやってくれ』

伯父はそう言って電話を切った。

「こき使ってやってくれって…」

いやそれよりも…。

「達郎が帰国したのは、あたしのため…?」

あたしは携帯を握り締めたまま、しばらくまばたきを繰り返した。

しかし次の瞬間、あたしは我に返った。

達郎はみどりの窓口に行ったままだ!

ぼーっとしてる場合じゃない、放っておいたら捜査一課に妙な請求書が回ってきてしまう!!

まったく、こき使われるのはあたしの方だっての!

あたしはあわてて走り出した。

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