月と太陽の事件簿12/新幹線殺人事件 静岡‐掛川間49・1キロの謎
特別ではないが、歴史はある。

そう語る職員の目は輝いていた。

察するに、この職員はかなりの鉄道ファンなのだろう。

じゃなければ突然会話に割り込んだあたしに嬉々として話を始めるわけがない。

何がきっかけかは知らないが、達郎相手にウンチクを披露しているところにあたしが来た。

もう1人ウンチクを語れる相手が来たのだから、そりゃ目も輝くわな。

職員のウンチクは続く。

「近年は路線が新幹線とかぶることもあって、客の奪い合いになってます。ここにJR東海とJR東日本の複雑な関係が垣間見えるワケでして…」

おいおい、JR職員がそんなこと言っていいのか!?

なんか2ちゃんあたりでしゃべるノリになってきたぞ。

「それにしても東海1号のデザインはいいですよね。シルバーの車体にオレンジのラインが一本だけこう…」

おーい、誰かこのヲタを止めてくれー…。

ちらりと達郎を見ると、唇を尖らせて、あらぬ方向を見ていた。

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