冷たい夜は桜の色

『隆?私だよ?ねぇわかる?』

私は隆の手を握る。

『私、隆が待っててって言うからずっと待ってたんだよ?』

『隆が絶対来るっていうから…だからわたし…。』

いくら話しても返事は返ってこない。それでも私は隆に話しかける。

部屋には機械の電子音だけが聞こえている。

少しづつ音が弱くなっていることに私は気づいていた。

『私、隆が好きだよ…私隆の気持ち聞くまでずっと待ってるから…』

『隆は言ったよね?私が幸せになれるって…その幸せな未来にはね…隆がいるんだよ…』

『ねぇ目を開けてよ隆、お願い…お願いだから』

その時隆が少し目を開けた

『隆!わたしだよ…わかる?』

隆は少しだけ笑うと、口を動かした。

私は隆の口に耳を近づけて言葉を聞き取ろうとした



「       。」



私にその言葉がとどいた瞬間。




隆の手が私の手からすり抜けていった。






それと同時に部屋に機械音が鳴り響いた。




『隆ーーーーー!!!』




ーーーーーーーー・・・




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