天国の丘

「もうそろそろ出て貰えないかな。こんなに客が入ったの初めてだ……」

「判った。今行くよ」

 やっと扉が開いたのを待ち切れなくて、部屋の中に声を掛けた。

「皆、待ちくたびれてるよ……」

 人間て、思いがけないものに出くわすと、本当に言葉を失ってしまうものだ。

「そんなに見ないでよ」

「どうだいボウヤ」

 眩しい位に美しい姿がそこにあった。

 胸元が大きく開いたドレスは、見事な程にレナのくびれを見せつけ、その谷間はドキドキさせる位、美しい曲線を描いている。

「どうやらアンタに悩殺された第一号の男はボウヤのようだよ」

 元々、実際の年齢より大人びて見えるレナだが、今夜は普段以上にシックな装いだ。

 化粧の仕方も全然違う。

 そして、彼女だけでなく、マーサ本人も十歳は若返って見える位素敵だった。




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